堤修二郎

堤修二郎

堤修二郎とは、料理人で調理師である。料理教室も開いていて世代を問わず人気がある。
都内某所に店を数店舗構えており、メニュー慣習や研修などを行っている。
調理師を目指す学生をアルバイトに積極的に採用しているのが特徴。
主に和食を中心とした料理を作るが、修行のために単身フランスへ渡り3年間滞在した経験がある。
和食でありながら独創的な料理はフランスでの修業経験があるから。

堤修二郎のルーツ

料理上手な母の下で育ち、食べることも好きだったため自然と料理への関心がわき調理専門のコースがある学校へと進学した。
調理師になるため学ぶ上で料理の奥深さを知り次第にのめり込んでいったという。

調理師とは

調理師とは調理師法に基づき調理、栄養及び衛生に関して調理師たるに必要な知識及び技能を修得した有資格者を指す。
食品の調理技術の合理的な発達を図り、もって国民の食生活の向上に資することを目的とするための日本独自の国家資格であり、名称独占資格(有資格者以外はその名称を名乗れない資格)である。 調理師でないものが調理師と称すると罰金30万円以下の刑に処される。 調理師は調理師会の正会員に入会することができる。入会するか否かは任意である。 調理師試験の試験科目は食文化概論、衛生法規、栄養学、食品学、公衆衛生学、食品衛生学、調理理論の7科目。調理師試験に合格し登録されると調理師免許証が交付される。免許の効力そのものは都道府県の調理師名簿に名前が登録されることで発効する。

調理師試験の合格者以外にも、学校教育法第57条に規定する者で、厚生労働大臣が指定した調理師養成施設を卒業した者には、無試験で調理師免許が与えられる。これは試験の合格によらず、名簿に登録される資格を有するということだが、登録申請は養成施設の修了時に一括して行うことが多い。ただし申請するか否かは修了生次第である。

調理師の「上位の資格」として社団法人調理技術技能センターの実施する調理技術技能評価試験(調理に係る技術審査試験及び技能検定試験)合格者に対する専門調理師・調理技能士(厚生労働省認定)がある。

調理師またはこれ以上の資格(栄養士、管理栄養士等)があれば、都道府県の条例により養成講習を受けることなく食品衛生責任者となることができる。

地方自治体の食品営業許可を取得している飲食店には、食品衛生責任者が必ずひとりは必要である。もしその飲食店が食中毒患者を出した場合、保健所長により飲食店は営業停止処分を命ぜられる。またその際に都道府県知事により食品衛生責任者たる調理師の免許を取り消される場合がある。調理師免許の取り消しを受けると、確定の日から1年間は欠格期間となり、その間、免許を受けることができない(調理師法第4条、第6条第2号)。この場合、免許(登録)が取り消されるだけであり、試験の合格まで消される訳ではない。よって再度調理師試験を受ける必要はなく、期間満了後、再免許を申請すればよい。

調理師は名称独占資格であり、調理師にのみ可能な業務というのは存在しない。飲食店を開業する際に必要なのは食品衛生責任者資格である。病院など一定以上の規模を持つ給食施設で設置を推奨されているのは栄養士あるいは管理栄養士で、実際は栄養士あるいは管理栄養士がいなくても献立を毎月医師に提出してチェックしてもらうだけでよい。調理師は栄養士の必要がない規模の給食施設、飲食店において「設置するよう努めなくてはならない」という努力義務規定が存在するだけなので、調理師にのみ許された権利は「調理師」を名乗ることのみとなる。

なお、フグを調理する場合にはふぐ調理師免許が、船舶の食堂施設においては船舶料理士免許が必要であり、これらの資格は調理師免許とは区別されているので注意が必要である。

類似の資格としてパンや菓子などを作る製菓衛生師免許がある。

調理師試験の受験資格

基礎資格のいずれか一つを有し、以下に定める調理業務経験を有する者
基礎資格
中学校卒業者
小学校卒業者で5年以上の調理業務経験者(※下記2年を含め通算5年以上)
旧制国民学校高等科修了者、旧制中学校2年課程修了者
厚生労働大臣が認定した者
在日外国人学校のうち日本の中学校に相当する課程の修了者であって厚生労働大臣が認定した者

調理業務経験
学校、病院、寮などの給食施設(1日20食以上を継続し、又は50食以上調理することが1日でもある施設)、飲食店(旅館、簡易宿泊所を含む)、惣菜製造業、魚介類販売業で2年以上の調理業務経験者。

試験

原則として年1回、各都道府県ごとに行われる。しかし調理師の資質向上、機会公平の観点から、試験日程・試験問題の統一が議論されるようになり、下記の府県については試験実施機関に委託、あるいは広域連合にて実施されるようになった。近い将来、全国統一日程、同一問題となる見込み。
公益社団法人調理技術技能センターが実施。
(青森県・宮城県・山形県・茨城県・埼玉県・東京都・富山県・香川県・高知県・福岡県)
関西広域連合が実施。
(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・和歌山県・徳島県)

調理師法とは

調理師法とは、調理師全般の職務・資格などに関して規定した、日本の法律である。昭和33年11月9日に施行された。

第一条(目的)
この法律は、調理師の資格等を定めて調理の業務に従事する者の資質を向上させることにより調理技術の合理的な発達を図り、もって国民の食生活の向上に資することを目的とする。

第四条(絶対的欠格事由)
第六条第二号に該当し、同条の規定により免許の取消処分を受けた後一年を経過しない者には、第三条の免許を与えない。

第四条の二(相対的欠格事由)
次の各号のいずれかに該当する者には、第三条の免許を与えないことがある。
麻薬、あへん、大麻又は覚せい剤の中毒者
罰金以上の刑に処せられた者

第五条(調理師名簿、登録及び免許証の交付)
都道府県に調理師名簿を備え、免許に関する事項を登録する。
免許は、調理師名簿に登録することによつて行う。
都道府県知事は、免許を与えたときは、調理師免許証を交付する。

第六条(免許の取消し)
都道府県知事は、調理師が次の各号のいずれかに該当するときは、その免許を取り消すことができる。
第四条の二各号のいずれかに該当するに至つたとき。
その責めに帰すべき事由により、調理の業務に関し食中毒その他衛生上重大な事故を発生させたとき。

第八条(名称の使用制限)
調理師でなければ、調理師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

第八条の二(調理師の設置)
多数人に対して飲食物を調理して供与する施設又は営業で厚生労働省令の定めるものの設置者又は営業者は、当該施設又は営業における調理の業務を行わせるため、当該施設又は営業の施設ごとに、調理師を置くように努めなければならない。

食品衛生責任者とは

食品衛生責任者とは、食品衛生責任者養成講習を受講した者などで、食品衛生責任者として選任されている者である。食品衛生法に定められた許可営業者は、食品衛生管理者を置く必要のない施設であっても、飲食店や特定の食品の製造業など、営業の許可を受けるべき施設ごとに置くよう、各都道府県が条例により定められているもので、営業許可施設ごとに食品衛生責任者を選任し保健所に届け出ることになっている。

・概要
飲食店、喫茶店などの調理営業や乳類、魚介類、食肉などの販売業等に必要であり、店舗、施設等の公衆衛生を行うことを目的としている。

・職務と義務
営業施設ごとに食品衛生責任者を定め置かなければならない。
食品衛生上の管理運営に当たる。
食品衛生上の危害の発生を防止するための措置が必要な場合は、営業者に対し改善を進言し、その促進を図る。
法令の遵守。

・受講資格
原則として誰でも受講できるが、都道府県及び保健所政令市によっては受講者を制限している場合もある。

東京都(保健所政令市の八王子市、町田市も東京都と同一の講習を指定)の場合17歳以上かつ高校生以外であれば誰でも受講資格があるが、地域によっては、所管地域に在住または開業・選任予定の者を対象としている場合、義務教育修了者に受講を制限している場合等もあるので、講習を実施する団体に問い合わせるのが確実である。

管理栄養士とは

管理栄養士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、
・傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導
・個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導
・特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等
を行うことを業とする者をいう(栄養士法1条2項)。
・栄養士は、都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者をいう(同法1条1項)。

取得方法
管理栄養士の免許は、栄養士の免許を有する者が、管理栄養士国家試験を受けて取得する。
・栄養士の免許は、栄養士養成施設(2年制、3年制、4年制がある。短期大学、専門学校、大学など)において2年以上栄養士として必要な知識及び技能を修得した者に対して、都道府県知事が与える。
・そして、管理栄養士の免許は、栄養士免許を得た後に一定期間栄養の指導に従事した者(栄養士養成施設の在学期間+実務経験の合計が5年)、または管理栄養士養成施設を修了して栄養士免許を得た者(4年制の大学や専門学校。実務経験不要となるため、4年生の時に、栄養士免許及び管理栄養士国家試験受験資格の両資格取得見込み扱いで即受験可能)が、厚生労働省の実施する管理栄養士国家試験に合格した者に対して、厚生労働大臣が与える。

栄養士養成施設

栄養士養成施設(えいようしようせいしせつ)は、栄養士の養成施設。栄養士学校とも呼ばれる。指定された科目を全て勉強して、卒業すると栄養士の資格を取得することができる。

多くは2年制の専門学校や短期大学である。

3年制の専門学校や短期大学、4年制大学もあるが、少数派である。

また、女子大学や女子短大が多く、男性は入学できない学校が多い。日本の指定認可栄養士養成施設数は263校である。(2007年8月現在)

※2年制の専門学校や短期大学、3年制の専門学校や短期大学の中には、さらに学習したい学生のために、専攻科を設置している場合がある。

a)2年制の専門学校や短期大学を卒業後、2年制の専攻科を修了。

b)3年制の専門学校や短期大学を卒業後、1年制の専攻科を修了。

c)2年制の専門学校や短期大学を卒業後、1年制の専攻科を修了。


a,b,c共通→専攻科で学んだ期間はそのまま、管理栄養士国家試験の受験に必要な実務経験期間の一部としてカウントされる。

a,bのみ→学士の取得が可能。

cのみ→科目等履修生として、人間総合科学大学通信教育部学士取得コース、女子栄養大学夜間部などで、さらに単位を追加修得して、学位授与機構に申請すると、学士の取得が可能。

というメリットがある。

管理栄養士養成施設

管理栄養士養成施設は、管理栄養士の養成施設。管理栄養士学校とも呼ばれる。指定された科目を全て勉強して卒業すると、栄養士資格と管理栄養士国家試験受験資格(実務経験免除)の両方を取得できる。

全て、4年制の専門学校か四年制大学のどちらかである。四年制大学の場合、栄養学部や家政学部などに設置されていることが多い。なお、学科の「管理栄養士学科」は管理栄養士養成を主とした大学の学科である。大多数が栄養士養成施設と同じく女子校であるが、共学校も存在する。

共学校は、徳島大学医学部栄養学科をはじめ医療系の学部の中の一学科として他の医療系学科に併設されて設置されている大学が多い。徳島大学のほか、名寄市立大学・青森県立保健大学・千葉県立保健医療大学・神奈川県立保健福祉大学・天使大学・東京医療保健大学・城西大学・帝京平成大学など。ただし、東京農業大学・盛岡大学・東京聖栄大学・茨城キリスト教大学など例外も多い。

四年制大学と四年制専門学校の違いは、卒業時に学士号が授与される(大学)・卒業時に高度専門士が授与される(専門学校)、の違いのみである。管理栄養士の勉強のための授業科目については、厚生労働省が設定した基準にもとづいて実施されているため、どちらも、違いはない。

栄養教諭

取得方法

免許法別表第2の2の場合

  専修免許状・・・修士の学位+管理栄養士免許+1種免許状の22単位+専修免許の24単位
   一種免許状・・・学士の学位+管理栄養士免許の所持、あるいは、管理栄養士養成課程を修了し栄養士免許を取得する+1種免許状の22単位
   二種免許状・・・短期大学士あるいは学士の学位+栄養士免許+2種免許状の14単位

免許法別表第6の2の場合

<学校栄養職員が、栄養教諭免許を取得する場合の特例>

  管理栄養士免許所持者、あるいは、管理栄養士養成課程を修了し栄養士免許が授与された者
       3年以上の在職年数+10単位修得→栄養教諭一種免許状の授与申請が可能

  栄養士免許保有者
       3年以上の在職年数+8単位修得→栄養教諭二種免許状の授与申請が可能

  管理栄養士免許と、何らかの教員免許状の、両方を所持している者
       在職年数の制限なし+栄養に係る教育に関する科目2単位のみ追加修得→栄養教諭一種免許状の授与申請が可能

  管理栄養士養成課程を修了し栄養士免許を取得し、それに加え、何らかの教員免許状の、両方を所持している者
       在職年数の制限なし+栄養に係る教育に関する科目2単位のみ追加修得→栄養教諭一種免許状の授与申請が可能

  栄養士免許と、何らかの教員免許状の、両方を所持している者
       在職年数の制限なし+栄養に係る教育に関する科目2単位のみ追加修得→栄養教諭二種免許状の授与申請が可能

※何らかの教員免許状とは、中学校の免許状や高等学校の免許状(教科は、家庭科・保健・理科など、何でも可)、養護教諭の免許状(小中高の保健室の先生の免許)、小学校の免許状などを指す。

授与に関する注意事項

  栄養教諭二種免許状の授与申請には、栄養士資格を有していることが前提である。
   栄養教諭一種免許状の授与申請には、
       ア)管理栄養士資格を有している
       イ)管理栄養士養成施設を卒業し、栄養士資格を有している(管理栄養士国家試験を未受験、あるいは、受験したが不合格となり、栄養士資格の取得のみで卒業した場合)

というどちらかの条件を満たしていることが前提である。

なお、管理栄養士は、栄養士資格を持つものでなければ国家試験を受験することができない。

そのため、栄養士資格や管理栄養士資格を取得出来ない教育学部では、栄養教諭普通免許状(一種、二種)の取得は不可能。

  4年制大学の栄養士養成施設を卒業し、栄養士資格を有しているだけでは、大学卒業時に栄養教諭一種免許状を取得することは出来ない。
   栄養教諭専修免許状の取得には、管理栄養士資格を有していることが前提である。
   栄養士資格は通学の昼間部でしか取得出来ず、夜間部や通信で取得することは出来ない。そのため、栄養士資格とセットでの取得が義務付けられている栄養教諭普通免許状(専修、一種、二種)も通学の昼間部でしか取得出来ず、夜間部や通信での取得は出来ない。

※栄養教諭普通免許状(専修)の取得が可能な国立大学大学院の課程は全国に5校(上越教育大学、筑波大学、岐阜大学、奈良女子大学、鳥取大学)存在するが、管理栄養士養成課程を有するのは奈良女子大学のみである。 所定の単位を全て修得しても、管理栄養士資格を有していなければ、栄養教諭専修免許状を取得することはできない。

栄養士と管理栄養士の違い

栄養士と管理栄養士の定義

栄養士とは字のごとく、皆さんが食べ物から得る「栄養」の分野を取扱うスペシャリストです。

栄養士法で説明するならば、栄養士は「栄養士免許を取得し、栄養士の名称を用いて、栄養の指導に従事する人」、「管理栄養士」は「管理栄養士の資格を取得し、管理栄養士の名称を用いて、栄養の指導に従事する人」のことです。

どちらも食物・栄養のスペシャリストであることに変わりはありません。
管理栄養士は傷病者の栄養指導も行う

では何が違うのでしょうか。その一つに、栄養指導を行う対象者の違いがあります。

簡単に説明すると、栄養士は主に健康な人々を対象に栄養指導・給食管理を行うのに対し、管理栄養士はその方々に加え、傷病者など個々のさまざまな症状・体質を考慮した栄養指導や給食管理を行います。

そのため栄養士業務と比べ、より専門的な栄養指導を行います。それは栄養士の配置規定からも言えます。

栄養士は、厚生労働大臣指定の栄養士養成施設(2年以上)を卒業後、都道府県知事の免許を受けて栄養士となります。また、栄養士法で、栄養士は「都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者をいう」とされており、病院や福祉施設、学校、社員食堂などでの、調理、献立作成、食材発注、栄養管理などが主な仕事の内容となってきます。

一方、管理栄養士は「国家試験による免許を受け、管理栄養士の名称を用い、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度な専門知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養指導、並びに特定多数に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理、及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導を行うことを業とする者。」とされており、栄養士からさらに高度な知識と技術の修得が必要となります。

栄養士は主として健康な人々の給食管理に携わっているのに対し、管理栄養士は個人を対象に病状や体質など様々な要素を考慮した栄養指導や給食管理を行う人といえます。特に大きな違いは、栄養指導ができるかできないかであり、病院や老人ホームなどの介護福祉施設の給食では、栄養面だけでなく医学や臨床面の見地からより高度な専門知識が望まれ、管理栄養士が行った栄養指導のみ指導料として報酬を得ることができます。

栄養学の創設

佐伯矩は、栄養学を学問として独立させたため栄養学の創始者といわれる。矩は、京都帝国大学で医化学を学んでいたころ、すでに「米と塩を以って生活できるか否かについての研究」と栄養に目が向いていた。内務省伝染病研究所に入り北里柴三郎の門下として細菌学を研究した。ここでの研究によって1904年(明治37年)には、大根に含まれる消化酵素を発見したことも成果の一つとなっている。1905年(明治38年)には、北里柴三郎らの推薦で特別研究員としてアメリカのイェール大学に招聘される。1911年(明治44年)ごろ、またヨーロッパを遊学した。

栄養学が芽生えたのは、1914年(大正3年)。佐伯によって営養(栄養)研究所が創設され、医師10名、高等師範1名に栄養に関する講義が行われた。1918年(大正7年)当時、教科書や政府の刊行物では営養と表記していたものを栄養に統一するように文部省に建言した。栄えるという字には健康を増進する意味があるからである。また完全食や偏食といった言葉も作り出している。1920年(大正9年)には、内務省の栄養研究所(現在の国立健康・栄養研究所)が設立され、佐伯は初代所長となる。1924年(大正13年)、佐伯は私費を投じて栄養学校を設立。翌年入学した第一期生は、1年間の学業を修め、佐伯によってつけられた「栄養士」と呼称で世に出た。1934年(昭和9年)日本医学会の分科会として、栄養学会が正式に独立を認められた。

佐伯矩は海外でも精力的に講義を行い、その業績によって1937年(昭和12年)には、国際連盟主催の国際衛生会議において、参加各国が国家事業として栄養研究所を設立し、栄養士の育成を行い、分搗きの米を用いることの決議がなされた。ビタミンの国際単位も国連への矩の提案である。

栄養士と養成施設

1924年(大正13年)、矩の栄養学校(現在の佐伯栄養専門学校)ができる。1933年(昭和8年)、香川綾の家庭食養研究会ができ、1939年(昭和14年)に女子栄養学園となる。1939年(昭和14年)、陸軍の糧友会が食糧学校を設立した。1947年(昭和22年)に栄養士法ができ、上記の栄養学校、食糧学校、女子栄養学園で栄養学を学んだものに与えられていた栄養士という称号が公的なものとなった。1962年、管理栄養士が制度となる。

主食論争

明治時代から食養会の関係者は玄米をすすめていた。当時の栄養学は、玄米に多い食物繊維は未消化で排泄されるので栄養吸収の効率が悪いと考えたが、真っ白に精白した米は栄養素が少なすぎるという低栄養が問題であり、当時多発したビタミンB1不足による脚気の予防のためにもその中間を提唱していた。

1918年(大正7年)、矩は新聞社を16社呼び、胚芽米をすすめ米のとぎ洗いも問題だと伝えた。しかし、精米技術が追いつかず、胚芽米の推奨はやめてどちらかというと胚芽米を嫌っているようでもあった。1921年(大正10年)、玄米をすすめてきた医師の二木謙三が玄米をすすめる内容の著書を発行している。1922年(大正11年)、矩は七分搗き米をすすめる。1927年から陸軍の糧友会は胚芽米を普及させようとしていった。理由は、白米はビタミンBが少ないという栄養上の問題があり体力を奪い大和民族の発展を阻止するが、胚芽米は栄養があり味もよく消化がいいということである。1928年、香川綾も胚芽米をすすめた。同1928年(昭和3年)ごろ、陸軍は脚気予防のために胚芽米に精米できる精米機が登場したため、胚芽米を採用した。正確に七分搗き米に精米できる精米機はまだなかった。矩は、七分搗き米を普及するべく「標準米」として提唱している。東京市は胚芽米の普及をすすめ、栄養研究所や栄養士と対立する。
1938年(昭和13年)、農相によって胚芽米でなく七分搗き米を奨励すべきだという発言が報道されたのに対し、糧友会は『胚芽米普及の真意義に就て』を書き、栄養がある七分搗き米を食べている人にまですすめるわけではないと弁明している。 1939年、農務省から米穀搗精等制限令が出て、胚芽を含んだ七分搗き米が奨励された。1941年(昭和16年)、玄米の普及の請願も出ていたが、厚生省、文部省、農林省の大臣が答弁し米は七分搗きが適当であり玄米は最適ではないとした。1942年(昭和17年)以降、大政翼賛会では国民を玄米に復帰させるとして議題となり、時の首相であった東條英機が玄米を常食していることも伝わり世論は玄米に傾いた。伝染病研究所の研究者らが玄米食について研究し12月の「医界週報」での報告では、玄米食によって小食になったうえ下痢も減り仕事の耐久力が上がり、医療費は1/17に減ったが炊飯に要する燃料は増加したと伝えたので、栄養学者も認めざるをえなくなった。1943年(昭和18年)、当初反対していた厚相も首相に従い玄米をすすめていった。1945年(昭和20年)8月15日 玄米をすすめる「食生活指針」ができた。

1975年(昭和50年)、謎の神経炎が発生する。1976年、翌年、謎の神経炎がビタミンB1欠乏症である脚気だと分かる[24]。砂糖の多い清涼飲料水やインスタントラーメンといったビタミンの少ないジャンクフードばかりを食べるような食事によってビタミンが欠乏したことが分かった。香川綾が再び胚芽米の普及にのりだす。

食物繊維

食物繊維(しょくもつせんい)とは、人の消化酵素によって消化されない、食物に含まれている難消化性成分の総称である。その多くは植物性、藻類性、菌類性食物の細胞壁を構成する成分で、化学的には炭水化物のうちの多糖類であることが多い。
従来は、消化されず役に立たないものとされてきた。後に有用性がわかってきたため、日本人の食事摂取基準で摂取する目標量が設定されている。ただし、定義から明らかなように栄養素ではない。

ヒトの消化管は自力ではデンプンやグリコーゲン以外の多くの多糖類を消化できないが、大腸内の腸内細菌が嫌気発酵することによって、一部が酪酸やプロピオン酸のような短鎖脂肪酸に変換されてエネルギー源として吸収される。食物繊維の大半がセルロースであり、人間のセルロース利用能力は意外に高く、粉末にしたセルロースであれば腸内細菌を介してほぼ100%分解利用されるとも言われている。デンプンは約4kcal/g のエネルギーを産生するが、食物繊維は腸内細菌による醗酵分解によってエネルギーを産生し、その値は一定でないが、有効エネルギーは0~2kcal/gであると考えられている。また、食物繊維の望ましい摂取量は、成人男性で19g/日以上、成人女性で17g/日以上である。食物繊維は、大腸内で腸内細菌によりヒトが吸収できる分解物に転換されることから、食後長時間を経てから体内にエネルギーとして吸収される特徴を持ち、エネルギー吸収の平準化に寄与している。大腸の機能は食物繊維の存在を前提としたものであり、これの不足は大腸の機能不全につながることになる。食物繊維をNSP(non‐starch polysaccharide,非デンプン性多糖類)と呼ぶこともある。

歴史

1918年、医師であるジョン・ハーヴェイ・ケロッグは『自家中毒』という著書を出版し、腸内で細菌が未消化タンパク質から作る毒が健康を害するという自家中毒説をもとに、未消化の肉には細菌が繁殖しやすいが、食物繊維は腸を刺激して活発にさせるので毒が作られにくいという理由で菜食をすすめた。

しかし、一方で栄養学では「食べ物のカス」ともされ、長年役に立たないものと認識されていた。たとえば、栄養学の創設者である佐伯矩は、玄米は栄養が多いが未消化物が多いので消化吸収の効率が悪いなどとして、ある程度精白した米である七分搗き米をすすめていた。

1960年代の南アフリカのジョージ・オットル(George Oettle)が、食物繊維と大腸がんの関連の研究をしていた。1967年に、インドのマルホトラは食物繊維の摂取が多い場合、がんのリスクが減るという報告をしている。

1970年前後、バーキットはオットルの研究を発展させランセットなどで研究報告を行い、食物繊維が少ないと腸内の疾患のリスクが上がるだろうという説が広く知られるようになっていった。1975年にバーキットはトロウェル (Hugh Trowell)と共著で『精製炭水化物と病気-食物繊維の影響』[10]を出版し、精白していない穀物である全粒穀物の食物繊維が有益であると述べ、このことは科学的研究によって確認されていった。

日本では2000年の「第6次改定日本人の栄養所要量」から摂取量について目標量が設定されている。

種類

大きく水溶性食物繊維 (SDF : soluble dietary fiber)と不溶性食物繊維 (IDF : insoluble dietary fiber)に分けられる。

水溶性食物繊維

  ペクチン - 果物に多く含まれる
   グアー豆酵素分解物 - 増粘安定剤(食品添加物)として用いられる
   グルコマンナン - こんにゃくの原料、なお、固化したこんにゃくは不溶性食物繊維が大半となる
   βグルカン
   難消化性デキストリン
   ポリデキストロース(英: Polydextrose) - 化学的に合成された人工の水溶性食物繊維
   イヌリン - ごぼうやきくいもなどキク科植物の根茎に含まれる

(海藻に含まれる水溶性食物繊維)

  アガロース - 海藻のうち紅藻の細胞壁の主要構成要素であり、紅藻から抽出される寒天の主成分
   アルギン酸ナトリウム - 海藻のうち褐藻の細胞壁の主要構成要素であり、コンブなどに含まれる
   カラギーナン - やはずつのまたやすぎのりなどの紅藻類に多く含まれる多糖
   フコイダン、ポルフィラン、ラミナラン[13]

不溶性食物繊維

  セルロース、ヘミセルロース、リグニン - 植物の細胞壁の主要構成要素で、野菜など植物性食品から多く得られる
   キチン、キトサン - 甲殻類の殻や菌類の細胞壁などの主成分

不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の特性をあわせ持つもの

  レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)

効果

熟した果物などに含まれている水溶性食物繊維(難消化性デキストリン)は、食後の血糖値の急激な上昇の抑制や、コレステロールの吸収を抑制する作用が報告されている。

野菜や穀類、豆類等に含まれている不溶性食物繊維は、大腸の蠕動運動を促す。

食物繊維の効用として、脂質異常症予防、便秘予防、肥満予防、糖尿病予防、脂質代謝を調節して動脈硬化の予防、大腸癌の予防、その他腸内細菌によるビタミンB群の合成、食品中の毒性物質の排除促進等が確認された。長寿地区住民の高齢者の食物繊維摂取量と同一人の腸内細菌叢を分析することによって、食物繊維の摂取量が多いと、働き盛りの青壮年なみに有用菌(ビフィズス菌等)が優勢で老人特有の有害菌(ウエルシュ菌等)は抑えこまれていることが実証された。さらにこの有用菌は腸内腐敗防止、免疫強化、腸内感染の防御、腸管運動の促進といった作用のあることがわかった。

消化管内の必須栄養素であるカルシウムと結合し腸管からの吸収を阻害する働きもある。

日本では、特定保健用食品(トクホ)と表示が認可されている。

2003年、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)による「食事、栄養と生活習慣病の予防」(Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases) では、肥満、2型糖尿病、心臓病のリスクを下げると報告し、野菜や果物や玄米のような全粒穀物からの摂取をすすめている。

リード (N.W. Read) とティムス (J.M. Timms) による「トンネルの向こうに光は見えるか」という論文では「食物繊維によって重症の便秘が軽減する事は少ない」と著されている。

2007年11月1日の世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究から分析したがん予防の報告書では、結腸や直腸のがんの予防との関連がありうるとしている。

食物繊維摂取量との関連が検討された生活習慣病は多岐に及び、心筋梗塞の発症ならびに死亡、脳卒中の発症、糖尿病の発症との間に負の関連を認めたとする研究報告が数多くある。また、循環器疾患の強い危険因子である血圧並びに血清(または血漿)LDLコレステロールとの間でも負の関連が示唆されている。さらに、肥満との関連を示した疫学研究も多数存在する。一方、がん、特に、大腸(結腸並びに直腸)がんとの関連については、最近の疫学研究の結果は必ずしも一致していない。ハーバード大学公衆衛生学部は、「食物繊維の摂取は、健康効果のある健全な食事としてもてはやされ、心臓病、糖尿病、憩室疾患、便秘を含む様々な疾患のリスクを減少させていた。多くの人が信じていたにも関わらず、食物繊維には大腸がんのリスクの減少の効果はほとんど認められなかった。」と発表している。

血糖値上昇抑制

水溶性食物繊維は粘度の高い溶液をつくり、胃から小腸への食物の移行を緩やかにする。また、拡散阻害作用、吸水・膨潤作用、吸着作用などがあり、摂取した食物は胃で消化され、緩やかに移行し、吸着され、吸収速度が緩慢となる結果、グルコースの吸収を緩慢にして血糖値の上昇を抑える。
熟した果物などに含まれている水溶性食物繊維(難消化性デキストリン)は、食後の血糖値の急激な上昇の抑制作用が報告されている。
ペクチンを食餌とともに摂取すると、血糖上昇が抑制され、インスリンの分泌も抑制された。ペクチンは、サトウダイコン、ヒマワリ、アマダイダイ(オレンジ)、グレープフルーツ、ライム、レモン又はリンゴなどの果物に多く含まれる(ペクチン参照のこと)。
グルコマンナンはコンニャクに多く含まれる水溶性食物繊維であり、グルコマンナンとグルコースを同時に摂取した場合、グルコマンナンには血糖値上昇抑制効果があった。グルコマンナンの粘性によるグルコースの拡散抑制による可能性がある。セルロースやプルランでは効果が認められなかった。なお、プルランは粘性が高いものの人体の消化酵素で消化されてしまう。
アルギン酸ナトリウムは、主に褐藻に含まれる多糖類の一種であり、水溶性食物繊維の粘性により血糖上昇抑制効果があり、また、二糖類分解酵素の阻害効果による血糖上昇抑制効果も認められたとする研究がある。また、米飯に寒天を添加して摂取したところ米飯のみと比較して食後の最大血糖値が低下し、GI値も減少が認められたとする研究がある。
エンバクの水溶性食物繊維の大部分はβグルカンである。エンバク由来のβグルカンについて血中コレステロール値上昇抑制作用、血糖値上昇抑制作用、血圧低下作用、排便促進作用、免疫機能調節作用などが欧米を中心に多数報告されている。エンバクはオートミールに利用されている。
大麦には豊富な水溶性食物繊維が含まれており、その大部分はβグルカンである。大麦の摂取による血中コレステロール値上昇抑制作用、血糖値上昇抑制作用、BMI値低減効果が報告されている(麦飯も参照のこと)。βグルカンは、植物、キノコ類に多く含まれている。
水溶性繊維であるグアーガムを食餌とともに摂取すると、血糖上昇が抑制され、インスリンの分泌も抑制された。

排便促進

不溶性食物繊維は結腸や直腸で便容積を増大させ、排便を促進する。

ダイオキシン類の排出

ダイオキシン類を吸着して排泄する効果もあるため、体内からの排出速度を2~4倍に高めることで、ダイオキシン類の健康に対する影響が防げると示唆されている。

栄養素

栄養素とは、
(栄養学等)栄養のために摂取する物質を要素として指す言葉。蛋白質、脂肪、炭水化物の三大栄養素のほかに、無機質、ビタミンなどを指す。
(生物学等)栄養のために摂取される物質。

生物学等では、「栄養素」と言うと、生物が代謝する目的で外界から吸収する物質のことを指している。栄養素は生体内で代謝され、生体内物質の原料やエネルギーを産生するのに利用されるとされる。 栄養学等では、上記の(生化学等での栄養素の他に)健康を維持するための食事由来の成分を含めて栄養素としている。

栄養素の分類

動物が食餌を捕食することはごくありふれた行動であるが、ルイ・パスツールがアルコール発酵で証明したようにしたように、ウイルス等少数の例を別にするならば、生物が成長・繁殖細する為の物質は体外から取り込む必要があるし、生命活動を維持する為のエネルギーも生態系からの取り込みに依存している。この様な生物の外界に依存する仕組みが栄養の本質である。しかし、酸素の有無以外にも熱水噴出孔のような極限環境を含めて生物はあらゆる環境下にも生息しており、栄養素として取り込んだ物質を代謝して細胞や組織を構築する方法やエネルギー産生の方法もいろいろな方式が存在する。言い換えると生物が環境に適応する方法の一つとして取り込む物質を変化させるので、栄養素とされる物質も千差万別であり有機化合物であったり無機化合物であったりもする。分類的には有機化合物である栄養素は有機栄養素とよばれ、無機化合物である栄養素は無機栄養素ないしは栄養塩類とも呼ばれる。有機栄養素(ゆうきえいようそ、Organic nutrient)と呼ばれるものには、炭水化物、脂肪、たんぱく質(もしくは構成要素のアミノ酸)、ビタミンなどがある。また、ミネラルのような一部の無機化合物も栄養素である。

栄養素が必要とされるのは、その物質が生体内の需要を生合成で賄うことができず、外部からの取り込みに頼ることが理由となる。需要量の点から栄養素を分類すると需要量の多い主要栄養素(しゅよう えいようそ、macronutrient)とそれとは相対的に少量の摂取で済む微量栄養素(びりょうえいようそ、micronutrient)とからなる。すなわち栄養素としてとりこまれる物質の比率は生物種によって異なるだけでなく、生物の置かれた環境や個体の成長段階によっても変化する。しかし、細胞を構築するための物質やエネルギー産生の為の物質はその必要量も多く、主要栄養素(しゅよう えいようそ、macronutrient)と呼ばれる。その一方、調節機構にかかわる物質は存在自体が少量な為、栄養素としての取り込み量も少量である。そのような栄養素は微量栄養素(びりょうえいようそ、micronutrient)と呼ばれる。すなわち、生物の構成要素としてたんぱく質、核酸、糖類は生物種によらず普遍的に利用されているので、それらの構成元素である炭素、水素、窒素、酸素、リンそして硫黄は主要栄養素を構成する元素である。また細胞内外に存在しさまざまな働きをするカルシウム、食塩(ナトリウムと塩素)、マグネシウム、カリウムなどの電解質も主要栄養素を構成する元素に含められる場合がある。微量栄養素で注意すべきは、単に生物体から検出されたからといって微量栄養素なのか単なる汚染なのかは識別することはできず、成長に必要な因子であるかどうかが明確になる必要がある。

別の観点から見ると、栄養形式を主要栄養素の種類で大きく二つに分類することができる。その場合、二酸化炭素、水の他に無機栄養素だけで十分な独立栄養の場合とそれに加えて有機物から成る有機栄養素をも必要とする従属栄養の場合とが存在する。前者の代表が植物であり、多くの生物種は後者の方式を利用している。独立栄養か従属栄養かの違いは絶対的ではない場合もあり、ヤドリギや食虫植物などでは環境変化に応じて二つの栄養形式を使い分けている。

栄養素の動態

栄養素は取り込まれる際に能動的あるいは受動的に細胞膜を通過して輸送される。しかしその化合物の種類は選択されたものだけである。分子量の小さい有機栄養素やは水溶性が高い無機栄養素は受動輸送される場合がほとんどであるが、ブドウ糖以上の分子量を持つ有機栄養素の多くは選択的に能動輸送される。多くの場合、動物や原生生物などの従属栄養生物は消化酵素などを分泌することで、生体外や消化管で食餌をこの様な摂取可能な物質に分解してから栄養素として取り込んでいる(記事 消化に詳しい)。
生体内において取り込まれた殆どの有機栄養素は同化作用あるいは異化作用といった代謝作用により分解され別の化合物として再合成されて利用されている。多くの生物種においてはエネルギーを産生する機構である細胞呼吸は生物進化の淘汰を超えて共通性を維持しており、出発物質であるブドウ糖ないしは果糖かその代謝過程の中間代謝物である低分子の有機酸をエネルギー源として利用している(記事 呼吸に詳しい)。またアミノ酸代謝や脂肪酸の代謝の代謝系も共通であり、したがって、多くの生物種では栄養素として取り込まれた有機栄養素は生体の要求に応じて相互に変換されている(例外については必須栄養素と非必須栄養素を参照のこと)。したがって主要栄養素のエネルギー量は平均すると脂肪は9 kcal/g (〜37.7 kJ/g)、タンパク質あるいは炭水化物は4 kcal/g (〜16.7 kJ/g)である。
このように、生体内に取り込まれた栄養素はプールされ、リサイクルされている。したがって生物が栄養として必要な所要量は個体の成長量や最終代謝物として二酸化炭素や水や排泄物とともに失われる量に依存する。

三大栄養素

前に述べたように、有機栄養素のうち炭水化物、たんぱく質、脂肪は多くの生物種で栄養素であり、「三大栄養素」とも呼ばれる。

  糖から構成される炭水化物。炭水化物は構成する糖単位の数により(グルコースやフルクトースのような)単糖、(ショ糖や乳糖のような)二糖、(でんぷん、グリコーゲンやセルロースのような)少糖や多糖に区分される。
   たんぱく質はアミノ酸がペプチド結合で連なった有機化合物である。ヒトは体内で幾つかのアミノ酸を作り出すことができず(必須アミノ酸と呼ばれる)食事から補給される。たんぱく質は消化管で消化酵素の消化作用により、遊離アミノ酸に分解される。
   脂肪の化学構造は一分子のグリセリンと三分子の脂肪酸がエステル結合している。その脂肪酸は分岐しない炭化水素の単結合のみからなる場合(飽和脂肪酸)と、分岐しない単結合および二重結合炭化水素の場合(不飽和脂肪酸)とがある。脂肪から代謝誘導される脂質は生物の細胞膜を維持する機能を有している。加えて高等動物においては、体表近くに蓄積されることで体に加わった打撃を吸収したり体温を安定化させる役割を持つ場合がある。あるいは、体表に分泌されることで表皮や髪の毛を健全に維持する役割も有する。

エネルギー量は脂肪は9 kcal/g (〜37.7 kJ/g)、タンパク質あるいは炭水化物は4 kcal/g (〜16.7 kJ/g)である。
代謝を補助する物質

  ミネラルと呼ばれる栄養素は微量な元素、塩、イオンで鉄や銅等がそれに該当する。
   補酵素や補因子として作用する有機物質は、生合成で不足する場合は、ビタミンとして摂食される。
   水は生命が引き起こす全ての化学反応の溶媒であり、排泄された分は摂食により賄なわれる。

栄養素の量と成長

1843年にドイツの農芸化学者 ユストゥス・フォン・リービッヒは植物の無機栄養説を提唱した際、経験則として最少養分律という法則を提唱した。すなわち
「生物(植物)がどれだけ生長できるかは,必要な元素のうち最も不足しているものの量で決められる」
というものである。その後マイヤー(A. Meyer)やウォルニー(M. E. Wollny)らの研究により栄養素も含めた、全ての成長因子に関して成り立つことが解明された。一般には壁板の高さが異なる樽から水があふれ出す、「ドベネックの樽」の説明が有名である (記事 リービッヒの最小律に詳しい)。
実際には酵素誘導により代替経路が生じたり、生体内の様々な調節機構が働き、成長因子が完全には独立ではなく相互作用する場合あるので厳密には成立しないこともある。一般には個体の成長と栄養素との関係だけでなく、生物群と栄養素との関係にも適用される。すなわち、肥料の組成の決定や富栄養化での生物の大量死の引き金の一つとしても有効な生物成長モデルである。

栄養素と共生

栄養素と生物相との関連を示したモデルに、食物連鎖があげられる。すなわち、他の生物を捕食あるいは遺骸を摂取することで従属栄養生物は有機栄養素の供給源を得ている。

このような「食うか食われるか」の関係以外にも生物が栄養素を得る関係も存在する。たとえば共生生物の産物を栄養素とする栄養共生がしられており、例えば、マメ科植物と根粒菌との関係があげられる。この根粒による窒素固定は世界経済に年間100億ドル分の合成窒素肥料を節約させていると推定されている。

また従属栄養生物で消化共生と呼ばれる関係がしられている。例を挙げるならばシロアリ類は自らの消化作用ではなく、後腸に生息する原生動物の超鞭毛虫類(Trichonympha,Trichomonasなど)や細菌が木質を分解した生産物や腐朽菌が分解した植物質を栄養素として利用している。あるいは草食獣では反芻胃に生息する細菌や原生動物の繊毛虫など多種の微生物が食餌に含まれるセルロースやデンプンを栄養素として増殖している。これら微生物自体を消化したり代謝産物を利用しているのである。つまり、セルロースの分解産物である炭化水素のみならず代謝によって生産される低級脂肪酸、尿素などの非タンパク質態窒素が同化したタンパク質、あるいは微生物が炭水化物より生成する低級脂肪酸などを栄養素として利用することによりエネルギー源・炭素源のほとんどをまかなっている。さらにビタミン類も微生物類より利用することがしられている。

植物と栄養素
植物が大量に消費吸収する元素は炭素、水素および酸素である。これらの元素は環境中では水や二酸化炭素として存在している。そしてエネルギーは太陽光より供給されている。しかし、多くの場合において水、二酸化炭素、太陽光は栄養素には分類されていない。

植物が必要とするたんぱく質や核酸の原料となる窒素、リン、カリウムあるいは硫黄もまた比較的多量に必要とされる。それが理由によりこれらの元素は植物の主要栄養元素と呼ばれている。「CHNOPS」と表記されることもある。これらの栄養素は無機化合物(たとえば、硝酸、リン酸、硫酸)の場合もあれば有機化合物(例えば、炭水化物、脂肪、たんぱく質)の場合もある。二元素分子の窒素も植物の場合はしばしば利用されている。

これら以外の植物が生命活動や成長に必要とされる元素については、記事 栄養素 (植物)に詳しい。

農作物のような植物種では微量栄養素の幾つかも含めて主要栄養素に合一されている。すなわち炭素, 水素、酸素、リン、 カリウム、窒素、硫黄、カルシウム、鉄そしてマグネシウムである。 特定の作物によってはケイ素、塩素、銅、亜鉛、モリブデンなどが主要栄養素に統合されることがあるが、他の多くの植物の場合には微量栄養素に合一されている。

植物学的な栄養素

植物生理学における栄養素には、必須栄養素(ひっすえいようそ、英: essential nutrient)と有用栄養素(ゆうようえいようそ、英: beneficial nutrient)の2種類が存在する。必須栄養素とは、植物が生長するために、外部から与えられて内部で代謝する必要がある元素である。対して有用栄養素とは、植物の正常な生長に必ずしも必要ではないが、施用することで生長を促進したり収量を増加させたりする栄養素である。

ダニエル・イズラエル・アーノン(英語版)は植物の必須栄養素を、その元素がないことにより植物がその生活環を全うできないもの、と定義した[1]。後に、エマニュエル・エプスタイン[ 英: Emanuel Epstein ]は、植物の生育に必須な成分や代謝物を構成することも、必須元素の定義であると提案した[2]。

現在、植物一般の必須栄養素として以下の14元素が知られている。これらは、一般に植物の要求量が大きい多量要素(植物組織の乾燥重量の0.2%以上)と、小さい微量要素(同0.02%以下)に大別されている。

  多量要素[ 英: macronutrient ]
       多量一次要素[ 英: primary macronutrient ]:炭素 (C)、水素 (H)、酸素 (O)、窒素 (N)、リン (P)、カリウム (K)
       多量二次要素[ 英: secondary macronutrient ]:カルシウム (Ca)、硫黄 (S)、マグネシウム (Mg)
   微量要素[ 英: micronutrient, trace mineral ]:ホウ素 (B)、塩素 (Cl)、マンガン (Mn)、鉄 (Fe)、亜鉛 (Zn)、銅 (Cu)、モリブデン (Mo)、ニッケル (Ni)

多量一次要素
炭素

多量一次要素のうち、CとOとHは大気中の二酸化炭素および水分子から吸収される。このため、植物の生育においてこれら栄養素は土壌や培地に存在する必要がない。必須栄養素のうち、CとOとHを除いたものを無機栄養素[ 英: mineral nutrition ]と呼ぶ。無機栄養素はほとんどの場合、その植物の支持体(土壌や栽培用の培地など)から根によって植物体へと吸収される。

また、寄生植物や食虫植物といった、他の生物から栄養素を取り込む植物も存在する。

肥料成分にNとPとKの3栄養素は最も大量に必要でありこの3要素を肥料の三要素[ 英: three major nutrients ]という。

何が必須栄養素となるかは、植物種間はもちろん、同種クローンの個体間でさえ異なる。必須栄養素の存在量が不足でも過剰でも植物に障害は現れる。また、ある必須栄養素量が低水準であるとき、他の必須栄養素の存在量は相対的に大きくなり、その過剰障害が現れることがある。例えば、硫酸イオンSO42−が不足しているとき、硝酸イオンNO3−などの他の要素の取り込みは影響を受ける。また、カリウムイオンK+の取り込みはアンモニウムイオンNH4+の存在量に左右される。

分布

普通世界中の土壌は、人為的に肥料を与えずとも植物に十分な量のすべての必須栄養素を供給する。が、一般的に肥料の供給(施肥)は植物の更なる生長と収量の増大をもたらす。また、大部分の作物において収量はその作物が吸収した肥料成分の量に比例して増加する。一方で、ほとんどの場合、作物は、与えられた肥料から栄養を半分ほどしか利用できない。

生物の死骸やその他環境中に放出された有機物が微生物の分解作用を受けて難生分解性物質の土壌中の堆積物となった腐植土は、必須栄養素を長期間にわたって、持続的に植物へ供給し続ける。

肥料とは 堤修二郎の見解

肥料とは、植物を生育させるための栄養分として、人間が施すものである。特に窒素・リン酸・カリは肥料の三要素と呼ばれる。肥料成分としては、他にカルシウム、マグネシウムを加えて肥料の五大要素である。さらに銅、亜鉛など、合計17種類は必須元素と呼ばれる。リン鉱石の枯渇が懸念されている。

肥料は、無機肥料と、有機肥料に大別される。前者は無機物が主であり水に溶けやすいが流出もしやすく、長期間の使用によって土壌障害の原因ともなる。後者は糠、草木灰、魚粕、糞など有機物であり、発酵などによって分解され、無機物となって植物に吸収される。2002年には一部は有機物のまま吸収されることが判明している。

肥料の定義
日本の肥料取締法第2条第1項にて、「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地に施される物及び植物の栄養に供することを目的として植物に施される物をいう」と定義されている。したがって、土壌に施されるものだけではなく、葉面散布などの形で施されるものも、肥料と呼ぶ。反面、養分としてではなく、土壌の改質のみを目的としたものは、肥料とは呼ばない。

また、人間が施したものではなく、もともと土壌中に含まれていた栄養分については、一般に「肥料分」などと言い分けることが多い。

農業は、土壌から栄養を吸って生育した植物を持ち去って利用する行為であるため、減少した窒素やリンなどを土壌に補給しなければ、持続可能な農業は不可能である。肥料はこの補給の目的で用いられる。

とりわけ、窒素・リン酸・カリは3大要素と呼ばれ、通常の配合肥料には必ずこれらが含まれる。この他に、後述するカルシウム、マグネシウムなどの要素も肥料として施す必要がある。

リン酸の不足
人類が紀元前3000年の頃から始めた農業の歴史上、不足し続けているのがリン酸である。その原料のリン鉱石の枯渇がいま心配されている。リン鉱石の80%が肥料用に使用されており、英国硫黄誌 (British Sulphur Publishing) によると、最悪のシナリオとして過去の消費から年3%の伸びを見込むと消費量は2060年代には現在の約5倍になり、経済的に採掘可能なリン鉱石は枯渇してしまうことになる、という。現実的なシナリオでは2060年代に残存鉱量は50%になるとされている。日本はリン鉱石の全量を輸入に頼っており、その多くを中国に依存している。国際肥料工業会 (International Fertilizer Industry Association) によると、リン酸肥料が使用される主な作物とその割合は、小麦が18%、野菜・果物が16%、米、トウモロコシがそれぞれ13%、大豆が8%、サトウキビが3%、綿花4%となっている。

肥料成分
多少の異説はあるが、植物は一般的に次の元素を必要とするとされる。

窒素 (N)、リン (P)、カリウム (K)、カルシウム (Ca)、酸素 (O)、水素 (H)、炭素 (C)、マグネシウム (Mg)、硫黄 (S)、鉄 (Fe)、マンガン (Mn)、ホウ素 (B)、亜鉛 (Zn)、ニッケル (Ni)、モリブデン (Mo)、銅 (Cu)、塩素 (Cl)。

以上の元素は必須元素と呼ばれる。これら17の元素のうち一つでも欠けると植物は正常に生育しないか枯死する。

これとは別に、必要ではないが、植物の成長を助ける元素(有用元素)がある:ナトリウム (Na)、ケイ素 (Si)、セレン (Se)、コバルト (Co)、アルミニウム (Al) 、バナジウム (V)。

必須元素の一部は肥料で与える必要はない。水を構成する水素や酸素、空気中の二酸化炭素に含まれる炭素は肥料で与えない。日本では塩素と硫黄は、農耕土壌に何も与えずとも不足することはほぼないため、わざわざ肥料で施すことはない。鉄、亜鉛、銅などは植物の成長には微量で十分であり、通常の土壌で不足することは少ない。ただし、強いアルカリ性の石灰質土壌や貝化石土壌等では、これらの金属イオンが水に溶けにくく植物に利用されにくい。植物が不足症状を受けることがある。この場合、不足した金属元素を肥料として与えることで、生育を改善できる。

養液栽培など、土壌からの供給がない場合は、上記の栄養素を全て与えてやる必要がある。

肥料の三要素
窒素、リン酸、カリウムを、肥料の三要素と言う。特に植物が多量に必要とし、肥料として与えるべきものである。

窒素
主に植物を大きく生長させる作用がある。特に葉を大きくさせやすく、葉肥(はごえ)と言われる。過剰に与えると、植物体が徒長し、軟弱になるため病虫害に侵されやすくなる。逆に、軟らかい植物体を作りたいときは窒素を多用するとよい。
また、窒素はどのような性状の窒素であるかにより肥効が左右される。アンモニア態窒素(硫安、塩安など)は土壌に吸収・保持されやすいので肥効は高い。しかし、土壌でバクテリアにより硝酸態窒素に変化すると土壌に吸収・保持されにくいので流亡してしまいやすい。有機質の肥料や尿素などは土壌でアンモニア態窒素に変化し、さらに硝酸態窒素に変化する。アンモニア態窒素は多用するとアンモニアガスを生じ植物体に障害を与える場合がある。この現象は施設園芸でよりおこりやすい。

リン酸
主に開花結実に関係する。花肥(はなごえ)または実肥(みごえ)と言われる。可溶性リン酸とく溶性リン酸が植物に吸収される。このうち可溶性リン酸は、アルカリ性クエン酸アンモニウム溶液に溶けるリン酸で、この中には水溶性リン酸も含まれる。なお、化学分野では「P」は元素のリンを表すが、農業・園芸分野ではリン酸塩類を表すことが多くリン酸と略されることが多い。

カリウム
カリ(加里)と略すことも多い。主に根の発育と細胞内の浸透圧調整に関係するため根肥(ねごえ)といわれる。水溶性のため流亡しやすいので、追肥で小出しに与えるのがよい。細胞内ではイオンの形で存在するため、細胞が死ぬと細胞外へ流出しやすい。また、植物体内での転流も容易。

  • 最終更新:2017-05-22 19:16:47

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード